この8月になると、思い出す友がいます。戦争は絶対したらいけないと一人芝居をしながら訴えていた、美佐子姐さんも今はいません。明日は知覧に行ってみようと思います。心の洗濯
南風禄 8月14日
「父さえいてくれたら、あの戦争さえなければと何度思ったことでしょう。」中村さんは父親の顔を知らずに育った。生まれた時、父親はすでに戦地にいて、その後、病死が伝えられた。
母子2人の戦後は、苦難続きだった。つましい生活もすぐに行き詰まり、中学卒業後は、住み込みで働きながら定時制高校に通った。「命は父からもらった。たった一つの贈り物必死に生きてきた。」
中村さんは昨年の「平和へのメッセージ From 知覧スピーチコンテスト」一般の部で最優秀賞に輝いた。こうした1005生きた人々が深く心に刻んだのは命の尊さだったに違いない。
終戦から74年がたつ。戦争が遠い時代の出来事になり、命の尊さを感じにくくなってはいないだろうか。親が我が子の命を奪ったり、若ものが自殺に追い込まれたりする事件が起こるたびに、やるせない気持ちになる。
コンテストの審査員からも「以前ほど戦争のむごさや命の重みが伝わってこない。」といった感想が聞かれる。本や映画を題材にした発表が増えた。戦争体験者が少なくなり、語り継ぐ難しさに直面している。
コンテストは修学旅行で知覧特攻平和会館を訪れ、平和を伝える大切さに気づいた。女子高校生の手紙をきっかけに始まった。30回目の今年は、最終審査に残った。12人が明日登壇し、かって特攻隊員が飛び立った地で戦争と命に向き合う。